大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)194号 判決

被告人 栗原信義 外一名

〔抄 録〕

弁護人控訴趣意について。

ところで、原判決はその主文中において、マッチの軸棒五本(原庁昭和三一年領第三八号中三号)を被告人栗原信義より没収し、法令適用の項において、該マッチの軸棒五本は原判示第一の犯罪の供用物件であつて犯人以外の者に属しないとして、刑法第一九条第一項第二号に従い没収すべき旨を明らかにしていること判文上極めて明らかである。所論によれば右マッチの軸棒は、犯罪の実行に利用されたものでなし、仮に本件犯罪に利用された物であつたとしても、社会的に何等の危険も価値もなく、没収すべき筋合のものではないのにこれを没収したのは違法である旨主張するのであるが、刑法第一九条第一項第二号の規定たるや、苟くも犯罪行為に供し又は供せんとしたる物であり、而もその物犯人以外の者に属さない以上は、その社会的危険性の有無、経済的価値の有無を論ぜず総べてこれを没収し得るものと解すべきを相当とすべく、本件について観るに、原判決の没収にかかるマッチ軸棒五本が、原判示第一、事実の犯行に利用したものであることは、被告人の原審第二回公判廷における供述及び司法警察員作成の昭和三一年一一月一五日附実況見分調書の記載に調し極めて明かであるから、原判決がこれを没収したのは寧ろ当然であつて、原判決には所論の如き違法はいささかも存しない。論旨はその理由がない。

(工藤 草間 渡辺好)

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